東北大学サイエンスシリーズ

2025年1月22日開講

東北大学サイエンスシリーズ第9弾
「海産毒の科学」

講師
[農学研究科]
山下 まり 教授
此木 敬一 准教授
西谷 豪 准教授
長 由扶子 助教
[学際科学フロンティア研究所]工藤 雄大 准教授

開講日:2025年1月22日(水)
募集開始日:2024年10月23日(水)

講座概要

本講座は、海産毒の物質としての化学的側面、起源や生合成など生物学的側面に加えて、環境、生態との関わり、作用や食中毒原因物質としての人との関わりを紹介します。

第1週では、魚による中毒のシガテラとその原因毒のシガトキシン、マイトトキシン、その他のポリエーテル毒、海藻付着性の藍藻の毒、および神経性貝毒や下痢性貝毒とオカダ酸について説明します。

第2週では、フグ毒として知られるテトロドトキシンの多様な側面について説明します。また、麻痺性第貝毒の生合成経路解明へ向けた研究や、記憶喪失性貝毒のドウモイ酸や類似化合物のカイニン酸について説明します。

第3週では、前半で、有毒性を調べる各種試験方法の解説と、フグ毒や麻痺性貝毒が電位依存性ナトリウムチャネルに及ぼす阻害作用について、電気生理学実験法を用いて調べた実例を紹介します。
後半では、陸棲両生類であるイモリに含まれるテトロドトキシンを中心として、化合物の同定法、毒の耐性機構、毒の起源および生合成について説明します。

第4週では、前半で、海産毒を生産するプランクトンの漁業被害の実態や、その生態、被害軽減のための対策について、後半で、麻痺性貝毒を生産するプランクトンの麻痺性貝毒の生合成と代謝、関わる遺伝子、酵素に関する研究の歴史的な経緯から最新の話題までを紹介します。