東北大学MOOCコンテンツ
東北大学サイエンスシリーズ
東北大学サイエンスシリーズ第7弾
「人間脳科学入門」
講師
[加齢医学研究所]杉浦元亮 教授
[大学院工学研究科]高橋信 教授
[大学院国際文化研究科]鄭嫣婷 教授
[スマートエイジング学際重点研究センター]大場健太郎 助教
[応用認知神経科学センター]榊浩平 助教
[知の創出センター]影山撤哉 特任助教
[東北工業大学]三浦直樹 教授
[国立研究開発法人 情報通信研究機構]石橋遼 研究員
開講日:2024年7月3日(水)
募集開始日:2024年5月8日(水)
講座概要
人間の心や行動には様々な不思議があります。それを実現する多様な脳内情報処理を、認知プロセスとして理解するのが認知神経科学です。この分野では、脳内の認知プロセスを可視化する脳機能イメージング技術によって、私たちの精神・行動を実現する脳の仕組みを明らかにしています。人間脳科学は、そのなかでも特に、「人間らしさ」を特徴づける心や行動の謎について、様々な基礎的・応用的な研究を進めています。本講座では、その基本知識から最新の知見まで幅広くご紹介し、人間脳科学の可能性を感じていただくことを目的としています。
心は脳でどのように生まれるのでしょう。脳は多様な感覚入力を統合し、記憶を参照して環境や物事の情報選択や価値評価をおこない、行動に反映させます。これら多様な情報処理、すなわち心の部品である認知プロセスを可視化する脳機能イメージング技術が、今日の認知神経科学を可能にしました。
第1週は心が生まれる現場とその様子を可視化する技術について、基礎的な理解を目指します。
人間らしさの特徴として、高度な認知処理と社会性が挙げられます。我々は言葉を理解し、操り、環境から多様な意味をくみ取ります。他者と心を通わせ、その見えない心を理解し、コミュニケーションを通じて複雑な社会を作り上げています。その中で、さまざまな物事を抽象概念として操り、高度な思考と創造性を実現しています。第2週は、人が社会を生きるために発達させた複雑な心と脳のメカニズムに迫ります。
人間は、その高度な認知処理と社会性から、ほかの人とは違う「自分」についての意識を生み出しました。「自分」とは、この身体や、運動や思考の主体であり、他者の目に映る存在でもあり、この社会で何らかの価値や役割を持つ存在でもあります。この「自己」は我々の人間らしさの核心であるとともに、様々な実存的・社会的問題を生み出します。第3週は、自己を創りだす心と脳の不思議に迫ります。
人間らしい精神・行動を実現する脳の仕組みを明らかにする人間脳科学。その成果は、どのように我々の未来を変えてゆくのでしょうか。我々の日常生活の安全と心身の健康、ビジネス、様々な社会的課題を解決する制度や教育など、人の心と行動が問われるすべての分野で、人間脳科学の応用が始まっています。第4週は、未来を切り開く人間脳科学の可能性について、様々な分野の研究をご紹介します。
※本講座は、2023年8月開講の第1回と同じ内容となり、課題の一部を変更しております。