東北大学で学ぶ高度教養シリーズ

2024年10月9日開講

東北大学で学ぶ高度教養シリーズ第7弾
「静物画のスペクタクル ――レンブラントとフェルメールを中心に「鑑賞者・物質性・脱領域」を考える」

講師
[教養教育院] 尾崎彰宏 総長特命教授

開講日:2024年10月9日(水)
募集開始日:2024年7月10日(水)

講座概要

本講座での「静物画」は、いわゆる近代が創りだしたジャンルの枠にとらわれない広い意味をもっています。人であれ事物であれ装飾的に描かれたものを「静物画」として捉えています。この立ち位置から眺めたとき、レンブラントとフェルメールの世界がいかに魅力的であるか、皆さんと一緒に見ていきます。

第1週「些細なものに神を感じる」では、モノに焦点をあてた「静物画」の誕生が、世俗的な傾向が強くなることによるというだけではなく、聖なるものと俗なるものの相反するベクトルの働く場において生まれたことを見ていきます。そこにはどのようなドラマがあったのでしょうか。

第2週「美的テクノロジー」では、主としてレンブラントの銅版画の中にある、一枚の版画にいくつもの形象がまるで習作でもあるかのように描きこまれた作品に静物画にも通じる新時代の芸術生産の在り方を見ていきます。版画を絵画に匹敵する魅力的な商品とする新領域を切り拓き、画家・版画家という新しい顔を見せるレンブラントとは何者なのかを探っていきます。

第3週「黒の美学」ではレンブラントの版画のなかにモノクロの織りなす繊細な世界を眺めながら、レンブラントと〈アジア〉について考えてみたいと思います。レンブラントの黒の背景には、版画だからモノクロということではなく、古代ギリシア以来ヨーロッパに伏流する「メランコリー」の思想が反映していることを明らかにします。

第4週「陶磁器の白い輝き」では、17世紀というグローバル化の時代にフェルメールが表現した新しい感性を、その作品にあらわれた「白」に着目して見つめてみたいと思います。白を通して現れるフェルメール芸術は、ヨーロッパとアジアとの出会いの産物であり、新たな芸術の創造を告げる夜明けでもあったことを見ていきます。