東北大学サイエンスシリーズ

2025年1月15日開講

東北大学サイエンスシリーズ第5弾
「放射線安全社会入門~リスクの知見を暮らしに~」

講師
[工学研究科] 新堀 雄一 教授
[理学研究科] 田村 裕和 教授
[医学系研究科]細井 義夫 教授

開講日:2025年1月15日(水)
募集開始日:2024年10月9日(水)

講座概要

福島第一原子力発電所の事故以来、放射線や放射性物質のリスクは、一部の専門家が扱う問題ではなく、暮らしの知恵として多くの方々が共有すべき課題であることが強く意識されるようになりました。同時に、原子力災害時や放射線の医学利用における放射線防護および放射性廃棄物のリスク管理にかかわる課題にも強い関心が寄せられています。
しかし、これらの課題の解決は、国内外において切望されながら、いまなお困難な状況が続いています。
他方、本学では、放射線に関連した研究・教育を進めている教員も多くおります。そこで、理学研究科、医学系研究科および工学研究科の教員が、放射線や放射性物質に関する基礎に加え、自らの放射線に関する認識を紹介し、放射線や放射性物質についての知見を受講者の皆さんが深化させ、暮らしに活かす一助にすることが本講座の狙いとなります。

第1週「放射線の基礎を学ぶ」では、放射線の科学的基礎を分かりやすく話します。放射線とは何か、その種類や性質、放射性物質、放射線の被曝、自然放射線、放射線の測定、放射線の利用について説明します。加えて、放射線測定の実演も行います。
第2週「放射線と社会 ~福島第一原発事故の影響~」では、放射性物質による環境汚染と社会の関係をテーマに、福島原発事故の経緯とそれによる土壌や食品の汚染、住民被ばくなどの実態について、科学的データをもとに紹介し、それに対してどんな対応がなされたか、どんな社会的問題が生じたかについてまとめます。関連した東北大学理学研究科の取り組みについても紹介します。さらに、放射線における安全と安心について議論します。
第3週「医学と放射線」では、医療的な観点から放射線を学びます。そこでは、放射線被ばくの影響として、内部被ばくと外部被ばく、放射線発がん、放射線によるがん以外の疾患の増加および、放射線による遺伝性影響を講義します。また、医療被ばくとして、CTやマンモグラフィーなどによる被ばくを説明するとともに、放射線防護について解説します。
第4週「地球科学と放射性廃棄物」では、地球科学の観点から放射性廃棄物の管理・処分について講義します。まず、地球科学に基づき、地球の生い立ちを概観しながら、地球に存在する放射性物質についての理解を深めます。そして、種々の放射性廃棄物について概観し、それらの管理・処分に地球の表層となる地下を利用する取り組みを地球科学と放射線防護の観点から講義します。

※本講座は、2021年1月に開講した第1回、2022年1月開講の第2回、2023年1月開講の第3回及び2024年1月開講の第4回と同じ内容となり、課題の一部を変更しております。